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■PARCO PRODUCE 2023「マヌエラ」I am a dancer. Love me ? 珠城りょうさん《インタビュー》

サンライズ_パルコ「マヌエラ」_450

PARCO PRODUCE 2023
マヌエラ
I am a dancer. Love me ?

INTRODUCTIONはじめに

珠城りょう 宝塚歌劇団 退団後、初主演舞台決定!!
第二次世界大戦直前の上海の薔薇と呼ばれた実在の日本人ダンサー、
マヌエラの愛と激動の半生を、音楽×ダンス×芝居で描く!!

1999年1月、天海祐希主演で上演し好評を博した本作を、24年ぶりに珠城りょう主演で上演。 第二次世界大戦直前の上海を舞台に、実力と美貌とを武器に生き抜いたダンサー・マヌエラの力強い姿を鮮烈に描きます。

脚本は、「金曜日の妻たちへ」「男女7人夏物語」「29歳のクリスマス」、大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」など、今でも残る数々の名作テレビドラマ、映画のシナリオを手掛けた鎌田敏夫。
今回は、俳優として存在感を放ちながら演出家としても数々の受賞歴をもつ千葉哲也(演出)、これまでに200作品を越えるオリジナル・ミュージカルの作曲を手掛けてきた玉麻尚一(音楽)、ミュージカル俳優でありながら演出・振付などでも引く手あまたの本間憲一(振付)が集結し、鎌田が23年前に手掛けた脚本を、DANCE ACTとして新たに甦らせます。

宝塚歌劇団退団後、舞台初主演となる珠城りょうを迎え、
豪華キャストと共にお届けする、
音楽とダンスと芝居が融合するエンターテインメント!!

主人公のマヌエラを演じるのは、宝塚歌劇団入団からわずか9年という早さでトップスター就任を果たし、2021年8月の退団まで月組を牽引してきた珠城りょう。退団後、初主演舞台となる本作で、激動の人生を生き抜いた実在のダンサーを演じます。

そして、和田海軍中尉役には舞台初挑戦となった『魔界転生』でもその存在感を遺憾なく発揮した渡辺大、パスコラ役には本格的な舞台は初出演となるお笑いコンビ「パックンマックン」のパックン、チェン役には数々の舞台であらゆる役柄を演じ、若手実力派代表とも言われる宮崎秋人、村岡部長役にはミュージカル界をリードしてきた実力派・宮川浩といった豪華な顔ぶれが揃いました。さらに、本作で演出を担う千葉哲也の出演も決定!このドラマをさらなる深みへと誘います。

24年の時を経て、新たに創造される名作の世界を、ぜひ劇場でご堪能ください!

STORYあらすじ

永末妙子(珠城りょう)はSKDで将来を期待されながらも、上海に駆け落ちし、生きていくためにダンスホールの踊り子となった。そこで、かつてムーラン・ルージュのスターであったパスコラ(パックン)に見いだされ、国籍不明で美貌の一流スターダンサー”マヌエラ”が誕生する。

時は第二次世界大戦前夜。日本海軍士官として上海に滞在する和田(渡辺大)と惹かれ合いつつ、反発するふたり。妙子が街中で出会った、追われる青年チェン(宮崎秋人)やクラブに出入りする怪しい貿易商の村岡(宮川浩)など、マヌエラを取り巻く人々も時代の波の中でうごめきながらそれぞれが確かに上海に生きていた・・・。

INTERVIEW珠城りょうさん インタビュー

パルコ_マヌエラ_インタビュー01 女優・珠城りょうさん

第二次世界大戦直前の上海で“上海の薔薇”と呼ばれた実在の日本人ダンサー、マヌエラの半生を描く物語です。この作品のどこに惹かれて、出演を決めたのでしょうか。

物語自体にも非常に興味を惹かれたのに加え、この作品はダンス、音楽の要素も入ったエンターテインメントですが、ストレートプレイの要素も大きく、もともとストレートプレイに挑戦したいという気持ちが強くありました。しかもいつも拝見しているパルコのプロデュース作品に出られる喜びがあり、ぜひ挑戦させていただきたいなと思いました。

物語の印象は。

初演の台本を読ませていただいたのですが、舞台が第二次世界大戦直前ということもあり、非常にシビアなものが盛り込まれています。そこで生きる人たちが「今、この瞬間をどう生きるか」と葛藤している物語。それぞれのキャラクターが非常に人間臭く描かれているところが魅力的です。

まだお稽古前だと思いますが、現時点で思う、マヌエラ……永末妙子さんの魅力は。

自分の意見をしっかり持って、それをはっきり言葉にして人に伝えることができる人。その分、まわりからはとても強い人間だと思われるし、キツい女性にも見られがちですが、この時代にこの場所で女性が生きていくことを模索していた人だと思います。ひとりの女性としての葛藤や、弱さ、儚さもたくさん感じました。その両極を表現していきたいです。台本を読むと、感情の層が幾重にもなっていて、本当に思っていることが見えるようで見えないんです。後半になると、本音をポロポロっと吐露していくのですが、そこまでは周囲の人間に本心を見せない。その心の揺らぎをどう表現するかは、研究していきたいところです。

“上海の薔薇”って、すごくカッコいい呼び名ですよね。そう呼ばれる女性を演じることについてはどう思いますか。

パルコ_マヌエラ_インタビュー02

たぶん見た目の美しさだけではなく、彼女の精神的な部分が気高いからそう呼ばれたのではないかと想像しています。だから彼女の誇り高い生き様が見えるように、役を作っていきたいです。また戦時下の上海は、陰謀渦巻くようなダークなイメージがありますが、そういう世界観だからこその大人っぽさ、色気も漂っている。そこに挑戦できることも、嬉しいです。

初演(1999年)は、マヌエラを天海祐希さんが演じていました。

その役を演じられることを嬉しく思います。ただ今回、演出家さんもキャストも変わり、まったく違う形になります。初演の方々への敬意を持ちつつ、自分たちなりの『マヌエラ』を、演出の千葉哲也さんと一緒に作っていけたらと思います。

共演者も個性豊かな面々ですね。渡辺大さん、パックンさんにはどんな印象をお持ちですか。

皆さん「初めまして」ですし、私からするとテレビでずっと見ていた方々。大さんは、現代劇はもちろん、時代物でもいつもピタッとはまり、とても落ち着いた、大人の包容力みたいなものをお持ちの方ですので、この時代の人物である和田海軍中尉をどう演じられるのか、私も楽しみにしています。勝手に、大さんにはぴったりな役なんじゃないかなと思っています(笑)。パックンさんは、実は俳優として芝居をすることに夢を抱いていたというインタビューを拝見しました。それが念願叶って……と答えていらしたので、とても前向きでよいエネルギーを作品に持ち込んでくださるんじゃないかなと思います。皆さんとご一緒できるのを楽しみにしています。

公式サイトなどに「音楽とダンスと芝居が融合するエンターテインメント」「DANCE ACTとして新たに甦らせる」と書いてあるのも気になるところ。ダンスの要素も多い舞台になりそうですね。

踊りはやはり感情を身体で伝えるということが原点だと思います。宝塚時代から、どういう心情を動きで伝えたいのかを大切に踊ってきました。おそらくそこに、より重きを置いて踊っていたのがマヌエラさんだと思うので、そのあたりをお芝居と融合させつつ、感情を燃やしていけたらいいなと思います。

マヌエラの踊りをするために、準備したいことなどはありますか。

資料などを拝見すると、妙子さんが踊っているのはスパニッシュだということで、括りが大きくてそれがフラメンコなのかわからないんです。ですので、振付の本間憲一さんがどういうダンスを作られるのか、演出の千葉哲也さんがどういうダンスを求めるのかに委ねる気持ちですが、何が来ても対応できるようなベースは作っておきたいですね。今まで踊ってきたのはジャズダンスがベースではありますが、“男役”というジャンルのダンスでしたので、マヌエラとして踊れるように、研究していきたいです。

マヌエラは「私は踊るために生まれてきた」と言いますが、ずっと舞台に立ってきた珠城さんも、その心境は共感できるところでしょうか。

舞台で表現する時、その瞬間は、何にも縛られない。自分自身の心の赴くままに存在できます。妙子さんも、踊っている時が自分自身を一番強く感じられる瞬間だったんじゃないかなと思うので、そのあたりはやはり共感しますね。

メインビジュアルでは、赤いドレスを着ていらっしゃいます。この撮影時はどんな心境でしたか。

こういうドレスで撮影するのが初めてで、非常にソワソワしました。男役の時は、だいたい身体の表面が布で覆われていますので(笑)。ただ、このドレスや照明など、色々なものに助けていただき、『マヌエラ』の世界観を体感できました。あのドレスを着た時に、「こういう感じの方なのかな」とマヌエラ像が湧き上がってくる感覚があり、楽しかったです。

ドレスと言えば、珠城さんはドラマ『マイファミリー』でウエディングドレスも着ていらっしゃいました。宝塚卒業から1年で、どんどん男役時代にはなかった新しい役柄を演じられていますが、この環境の変化をご自身はどう感じていらっしゃいますか。

楽しいです! 宝塚在団中は、もちろん応援してくださっていた方々は男役の自分を好きでいてくださった。ですので、こうやって活動していくことを皆様がどう感じるのかは非常に気になっていたのですが。宝塚にいた時は、自分が男役であることにすべてをかけていましたし、私生活でも男役であることを意識して生活していた。その分、退団したら自然と本来の自分の良さが出ていけばいいなと思っていたので、その点は非常に気持ちの面でスムーズにできていますし、俳優としてもいいスタートを切れていると思います。また、ありがたいことに、ファンの皆様も「男役・珠城りょうも好きだったけれど、それ以上にただの珠城りょうさんが好きです」とおっしゃってくださる方が非常に多いんです。こういう気持ちで様々な役に挑めるのも、ファンに恵まれたのが大きいです。

最初にストレートプレイに挑戦したかったともおっしゃっていました。様々なインタビューなどを読むと、珠城さんは本当に演劇がお好きなんだろうなと感じていますが、ストレートプレイへの思いをもう少し詳しく教えてください。

パルコ_マヌエラ_インタビュー03

そうなんです、本当にお芝居が好きで。宝塚の下級生の頃から、東京公演に来るたびにひとりで蜷川さんや野田さんをはじめ、色々な演出家さんの舞台を観に行っていました。ストレートプレイはリアリズムを追求しますが、宝塚はある意味真逆の、夢の世界。宝塚でもその世界の中でのリアルを追求していましたが、やはりひとつのエンターテインメントとしてお届けするところに重きを置いています。でもストレートプレイでは、より人々の葛藤や醜い部分も含め、リアルな心情が表現しているところが面白く、どんどん私は芝居にのめり込んでいきました。お芝居って、演じる側も観る側も、それが嘘の世界だとわかっているのですが、ストレートプレイはよりそれが現実のようにリアルに感じさせてくれるんですよね。なので、いつか言葉のやりとりだけで物語を紡ぐストレートプレイに挑戦したいとずっと思っていました。

これから千葉哲也さんの演出のもと『マヌエラ』を作っていくという段階で答えづらいかと思いますが……将来的に、この人の演出作品に出てみたい! という夢はありますか?

それは“ご縁”だと思っているのと、口に出したら来なくなっちゃう気もするので、言わないようにします(笑)。言わずに巡ってきたら、それこそ運命だと思うので。声がかかる俳優でいられるよう、頑張りたいです。

最後に、『マヌエラ』を楽しみにしている皆様にメッセージを。

2023年の幕開けに『マヌエラ』に出演させていただきます。今この時代にこの作品を再演するということに、必ず意味があると思っています。この作品の中に込められたメッセージを、今の私と、今のキャストで、一番いい形で表現し、ご覧いただく皆様にこの『マヌエラ』の世界観をお届けできるよう精いっぱい努めたいと思います。ぜひ劇場に足をお運びいただけたら嬉しいです。

(取材・文・撮影:平野祥恵)