イギリスの劇作家アレクシ・ケイ・キャンベルによるサスペンスドラマ『ブラッケン・ムーア〜荒地の亡霊〜』が2019年8月、日本初演を迎えます。プレビュー公演初日を控えた8月1日(木)、ゲネプロ(総通し舞台稽古)が公開され、岡田将生、木村多江、益岡徹が都内にて取材に応じました。
岡田将生
1ヶ月みっちり稽古ができて、みなさんと台本の解釈が深まった状態で稽古ができたので、自信を持っていろいろな方々にこの作品の良さを届けられるのではないかなと思っています。
木村多江
まだ1回もちゃんと上手くできたことがないので、ちょっと大丈夫かなと不安でいっぱいです。でも、共演者の方々がすごく心強くて、みんな素敵な方ばかりなので、みんなで助け合おうという話になっています…。作品自体はとても面白くて、重厚で、大人の芝居で、すごく魅力的な人たちがこの舞台を盛り上げていってくださるので、私もそれについていきたいなと思っています。
益岡 徹
今日まで1ヶ月少しを稽古場でみんなと一緒にやってきて、幕が開いてからまた1ヶ月間、家族よりも長い時間を一緒に過ごすと思います。みんなとの関係もまた一段と深まって、芝居の内容も深まっていくのではないかと思っています。それを楽しみにしています。
©写真提供:東宝演劇部
岡田将生
僕はテレンスという役を演じます。(木村と益岡が演じる)2人の亡くなった息子エドガーの10年来の親友で、子どもの頃エドガーとお付き合いしていたことによって、またこの2人の家庭に入っていくことになるんですが、そこでエドガーの幽霊が僕に取り憑いて、いろいろなことを2人に伝えていくという役柄です。役作りは、子どもをいっぱい見ました。(エドガーと同じ年齢の)10歳から12歳ぐらいの子の動きとか喋り方とか声の高さとか、そういうことをいろいろ研究して、今回臨ませてもらいました。
©写真提供:東宝演劇部
木村多江
私はエリザベスという女性を演じます。旦那さんは益岡さんが演じるハロルドで、私たちの子どもが亡くなって10年経っているけれども、その暗闇から抜け出せない女性です。役作りは、まず日本人ではなく、イギリスの女性なのでイギリスの映画をたくさん見ました。時代背景も今より少し前の話なので、時代背景がわかるような映画を見たりしましたね。なかなか薄幸な役をやらせていただくんですけど、その中で強さと悲しみと果てしない深さと闇みたいなものを、2時間の舞台の中で変化していくので、それをどれだけ表現できるかすごく悩みながら役作りをしました。
益岡 徹
作品的にいろいろな要素が絡まりあった内容になっています。僕たちの息子が死んでしまったことで、夫婦の間の断絶があり、親友一家が日常を取り戻せないものかと訪ねてきてくれたり、テレンスが私たちの息子に憑依されたり、病的な奥さんがどうなっていくかとか…。炭鉱主として男はこうあるべきだと思っている僕が実は何かに囚われてしまっている。その部分が非常によく書かれていると思いました。最初に本読みを長くやったんですけど、その時に演出の上村さんから聞いたことを今でも新鮮に思い出すくらい、そういうことだったのかと思ったことがあって、ここでは言えないですが、それが大きな要素になってくるのではと思っています。
©写真提供:東宝演劇部
岡田将生
初めてです。お2人とも本当に舞台上でたくさんのことを教えてくださり、見せてくださるところがすごくあります。今回の芝居は台詞がとても大切で言葉の力や伝える力があるんですが、特にお2人は膨大なセリフがある中ですべてダイレクトに心に響いてくるので、会話のキャッチボールを勉強させてもらっています。
益岡 徹
いやいや、岡田さんもすごいんですよ。喋り出したら止まらない、憑依される部分があるからね。すごいんですよ。見どころになるので、後の質問となると思いますけれども…。
岡田将生
言っちゃったじゃないですか(笑)
岡田将生
いろいろ考えてしまうとプレッシャーを感じてしまうので、今回は本当に演出家の上村さんについていこうという気持ちがありました。僕は舞台の経験があまり多くないので、上村さんに演劇というものを教えてもらいたいという気持ちでこの作品に関わらせてもらいました。なので、あまり難しく、初演とか一番最初というのを意識しないようにしました。
©写真提供:東宝演劇部
木村多江
あのね…、セリフを完璧に言えないんですよね。
岡田将生
そんなことないです!
木村多江
こうやって皆さん守ってくださるんですけど、本当に1回も出来てなくて…。この後ゲネプロをやるので、そこで何とか完璧にやって本番に臨みたいなと思います。…すごいみんなゲラ(笑い上戸)なんですよ。岡田さんも私もゲラで、すぐ吹き出しちゃうんですよ。すごく真面目な芝居なのにニヤニヤしていたり、ちょっと笑っていたり。あと、岡田さんが倒れているシーンで、ちょっとカクンとなっていて、寝ているのかなとか…。
©写真提供:東宝演劇部
岡田将生
ちょっと待ってください! 全然お互いを守りあってないじゃないですか!すごい攻めちゃってる(笑)
木村多江
温かく見守っています(笑)。起きて! と思いながら芝居をしています。
岡田将生
大丈夫です。寝ていないです(笑)
益岡 徹
吹き出すような芝居じゃないですよね(笑)
木村多江
すごく真面目にやっているんですけど、たまに益岡さんが面白かったりして…
益岡 徹
そういうつもりは全くないんですけど。岡田くんが寝ているシーンで、本当に寝るのはいいんだけど…
岡田将生
いや、だから寝てないですよ(笑)。本当に寝ちゃダメ(笑)
益岡 徹
本当に寝たときに、起きてびっくりしないようにしてほしいなとは思うけど…(笑)
岡田将生
でも、本当に結構な長い時間横たわっているシーンがありまして。起き上がってからの、爆発的にワーッとやらなくてはいけないので、寝ていられないです!
木村多江
エネルギーを貯めているんだよね。
益岡 徹
あ、そうなんだ、安心しました(笑)
木村多江
その時にちょっとニヤニヤしていて吹き出しそうになってるから、それ見ると私も笑いそうになるから…。真面目な芝居だからゲラが出ちゃうのが、ちょっと危険だね(笑)
木村多江
以前、悪い役をやっていらっしゃるのを拝見していたので怖いのかなと思ってたんです。だけど、雨に濡れた捨てられた子犬みたいな(笑)。かわいいらしいです。すごく誠実で、真面目で、台詞もたくさんあるのに初日からバーっと言えて、台本も早くに外していて。すごく忙しいのに、真面目に取り組んでいらっしゃるんだなぁと思いました。私も焦って、触発されて。…頑張ります。
岡田将生
お話の核となるネタバレになってしまうところが一番大変でした。最後に益岡さんに、なぜココにきて、なぜ取り憑かれたのかを伝えるシーンがあるんです。結構長い時間をかけて言葉でちゃんと伝えていくんですが、ずっと喋っていてなかなか大変ですし、でも見どころでもあり、いろいろなことが回収されていくところなので、一生懸命やりたいと思っています。
©写真提供:東宝演劇部
益岡 徹
そこのシーンでは僕は一方的に語られるんですけど、本当に見所ですね。
先ほども話した、強がっているけど実は弱かった部分も炙り出されていきますし、奥さんとの関係も見えてきます。
岡田将生
見ての通り、穏やかに助け合いながらやっています。僕はこのメンバーで年下なんですけど、皆さんに甘えさせてもらっています。皆さん自由で、本当に気を使わず。お芝居に集中できるカンパニーです。とてもやり易くて、楽しいです。
岡田将生
愛と喪失と再生という3つのテーマを軸に動いていく話です。僕たちの台詞の言葉の力を皆さんの耳に、脳に届けたいと思っています。ぜひお時間がある方は舞台に足を運んでいただけると嬉しいなと思っています。
舞台は本当にいろいろな勉強をさせてもらって、学べる場所なので、1ヶ月学んできたことを100%でお客さんに届けたいなと思います。