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ミュージカル『ビリー・エリオット』柚希礼音さん、安蘭けいさん《インタビュー》

ホリプロ_ビリーお二人の写真_ポスターあり版_600不況に喘ぐ英国北部の炭鉱の町を舞台に、ひとりの少年と彼を取り巻く大人たちの姿を描いた映画「BILLY ELLIOT」(邦題「リトル・ダンサー」)。リー・ホール(映画「ロケットマン」「キャッツ」)が脚本・歌詞、スティーヴン・ダルドリーが演出を担当、そこにエルトン・ジョンが音楽で加わりミュージカル化され、世界中で成功を収めたこの作品は、世界中の観客を虜にし、“奇跡のミュージカル”と呼ばれるようになりました。

このミュージカルにビリー少年を導くバレエ教師ウィルキンソン先生としてダブルキャストで挑む、元宝塚歌劇団星組トップスター、柚希礼音さん、安蘭けいさんに意気込みを伺いました。
※文中の「ちえ」は柚希礼音さん、「とうこ」は安蘭けいさんの愛称です。

残念ながら7・8月公演は中止となってしまいましたが、
その間にこの作品に向き合う心持や心境の変化はございましたか。

 

<柚希さん>
皆さま自粛期間には、様々大変な経験をされたことと思います。
『ビリー・エリオット』も初日が少し後ろになったことが残念ではありますが、私はその期間、自分自身を強化するときだ、特に「歌」を強化しよう、と思い、日々、オンラインでレッスンを受けるなど、準備をしていました。


<安蘭さん>
当初は、上演できるのか……と不安に思うときもありましたが、信じて動くことで願いは叶うはずだと思い、準備を続けました。
ウィルキンソン先生役は本当にたくさん踊る役なので、自粛期間前から始めていたのですが、期間中もずっと、様々なトレーニングや運動を強化して取り組み、過ごしました。

久しぶりの稽古はいかがですか。



<柚希さん>

リモートや映像など、この時期ならではの新しい手法をやってきましたが、稽古が始まって、人と人、目と目を合わせてお芝居の稽古ができるのは、本当に幸せなことなんだ、と感じました!


<安蘭さん>
もしかして、この自粛期間中の努力が無駄になるのでは……と思う気持ちもありましたが、無事再開された稽古場で、みんな再開を信じて作り込んでいたんだ!それぞれが動いていたんだ!ということを目の当たりにし、本当に驚きましたし、感動しました。


柚希さんは2017年の初演から2度目のウィルキンソン先生役ですが、
演じるにあたって初演との違いはありますか。


<柚希さん>

『ビリー・エリオット』は最高の作品だと思っているので、もう一度この役で出演できることが、とっても嬉しいです!
でも、自分自身、同じ作品で同じ役で何年後に再演したことが宝塚時代にありまして。再演する時には、自分自身が最高のものをお届けしないと、初演のほうがよかった……と思われてしまうのでは、と感じています。それだけはあかんぞ、と気合を入れてやっております。
ですが、3年前の初演で演じた時に納得いく役作りができたので、根本は変えずに、深めるというよりも、よりそこにすとんといられる、はまっている、そんなウィルキンソン先生に仕上げたいと思っています。

 

安蘭さんはウィルキンソン先生役が決まられて、どのように思われましたか。


柚希礼音さんメインお写真_300

<安蘭さん>
次に日本でやるときにはやりたいと思っていたすごく好きな作品でしたので、決まった時には、本当にうれしかったです。

本役の獲得にはオーディションを受けているのですが、死に物狂いで、熱い思いで取り組みました。
特にタップダンスを練習しなおしまして……。

<柚希さん>
(安蘭さんは宝塚時代「雨に唄えば」に)タップが要となる作品で主演の舞台をされているから、周りの目は「(タップが)できる方」というイメージが強いんです。


<安蘭さん>

でも「雨に唄えば」は2003年で17年前だから、とにかく一生懸命練習して、この役をゲットできたときには、本当にうれしかったです。
宝塚を受かった時と同じくらいうれしかった!!

お2人にとってお2人はそれぞれ、どのような存在ですか。

 

<柚希さん>
とうこさん(安蘭さん)と私のような、同じ組、同時代のトップと2番手だった2人が同じ役ということは、なかなかないことなので、すごく光栄です!

今も日々、とうこさんから、学びと刺激をいただきながら過ごしてるんですが、実は、いろいろなインタビューで「自分自身が変わった瞬間って何ですか?」と聞かれた時には、いつも、とうこさんからいただいた言葉を答えてるんです。

人気や実力で悩んでいた若手時代、活躍されている方の映像を観て、ウインクや投げキッスのようなことを取り入れようと勉強していたら、とうこさんに、「本当にお客様を増やしたいと思っているならば、本当に心のこもった役を演じなさい。」と言われたんです。
本当に大切なことを教わりました。今でも大切にしている言葉です。

安蘭けいさん-300

<安蘭さん>
初めて知った…(笑)ていうか忘れてた。
ほんま私、いいこと言うね(笑)

<柚希さん>
めっちゃ言ってますよ(笑)

<安蘭さん>
ちえ(柚希さん)は、本当にフレッシュで、同期の中でも1番目立っているような子だったから、実は初舞台から覚えています。(当時は安蘭さんが雪組で、初舞台生として柚希さんが雪組公演に出演されました。)

その後私が星組に移って、初めに『花吹雪 恋吹雪』という舞台を主演でやらせていただいたんですけれど、そこで研2くらいでちえが出ていたのですが、星組みんな一生懸命なんだけど、その中でも大きくて、野生動物が頑張ってる、熊みたいな……。(笑)

<柚希さん>
熊若っていう役名でした!

<安蘭さん>
だから熊みたいな印象なんや(笑)、粗削りで、パワーがすごかった。
で、それからの成長もずっと見ているのだけれど、私が演じた役をちえが新人公演で演じた時…。

<柚希さん>
“ネクタイのみ”お借りして!

<安蘭さん>
私の衣装、着れないから(笑)ネクタイとかサイズ感の関係ないものを貸しました(笑)
最後は私がトップの時に、2番手で支えてもらって……、ちえとの宝塚時代のエピソードがいっぱいあるんです。

だから、私にとっては、あの頃のかわいいちえという印象がずっと残っていながらも、トップを引き継いだ時間から現在までの成長を間近で見られるのが、本当にうれしいと思っています。

最後に、宝塚歌劇セディナ貸切公演から、ずっと応援していますセディナカード会員ファンの皆様に、メッセージをお願いします。


<柚希さん>
本当にいつも観てくださりありがとうございます!
これからも宝塚を、そして宝塚を卒業していった私どもの舞台も、ぜひ、よろしければ観てくださいませ。

<安蘭さん>
在団中は本当にお世話になりまして、ありがとうございました。
退団しても我々は活動しておりますので、宝塚以外でもお目にかかれましたら大変うれしく思っております。

今回は2人で同じ役をそれぞれに演じておりますので、欲を言うならば2人のウィルキンソン先生で、この『ビリー・エリオット』という素晴らしい作品を観てもらいたいなと思っています。

ホリプロ_ビリーお二人の写真_ポスターなし版_600