2019年4月から9月に5都市で上演されるミュージカル『レ・ミゼラブル』の新キャスト制作発表記者会見が、2018年10月10日に都内で行われ、佐藤隆紀、上原理生、伊礼彼方、濱田めぐみ、屋比久知奈、三浦宏規、熊谷彩春、斎藤 司(トレンディエンジェル)、朴 璐美、小野田龍之介が登壇した。
佐藤隆紀
今回ジャン・バルジャン役で出演させていただきます佐藤隆紀です。僕が生まれる前からある作品なんですけれども、この伝統ある作品に出演させていただけることを本当に誇りに思いますし、精一杯頑張っていかなくてはと感じています。もう一皮も二皮も剥けて、ちゃんと稽古に向けて自分なりにスキルアップしていかないと、みなさまに感動を与えることができない、そのくらい大きな役だと感じています。これから自分に向き合って、人としても、役者としても、歌手としても、大きく成長して皆様にこのジャン・バルジャン役を届けられるように精一杯努めてまいりますので、どうぞ楽しみにしていてください。
上原理生
今までこの作品でたくさん革命を起こしてきた私が、今回からは革命を鎮圧する側にまわりました(笑)、ジャベール役の上原理生です。こうして今までとは違う役で出演させていただけることになりました。まったく逆の立場で演じさせていただくことで、違う「レ・ミゼラブル」の景色が見られるんじゃないかなという楽しみがあります。どれだけできるかわかりませんが、二幕冒頭の『昔は俺も戦った』というのがすごい説得力をもって言えるのかなと思っています。精一杯作品に真摯に誠実に向き合ってジャベール役に臨んでいきたいと思います。
伊礼彼方
ジャベール役の伊礼彼方です。本質的にはジャン・バルジャンに似ているのですが、なかなか自分に近い役は演じるのが難しいと言われているので、ジャベールに決まって嬉しく思っています。僕も何年か前に初めてこの作品を観た時に衝撃を受けまして、いつかジャベールをやりたいと憧れておりましたが、思ったより早くこの役にたどり着けたので、自分が持っているこのワイルド感、イケメン感(笑)、そしてこの悪役感、ストレートプレイやミュージカルで培ってきた引き出しをすべて駆使して挑みたいと思っています。
濱田めぐみ
今回ファンテーヌ役をやらせていただくことになりました濱田めぐみです。私もそうですし、たぶん私以外の方も「え、まさか濱めぐが?!」ということで驚かれていると思うんですけども。私も正直この「レ・ミゼラブル」という作品は、学生の頃から“見るもの”だなと思って諦めていたというか、自分にはチャンスがないのかなと思っていたんですが、つい最近チャンスがありましてオーディションを受けさせていただくことになりました。
自分と向き合った時に、自分が天国に行く時に後悔したくないなと思いました。色々な葛藤や、思い巡らすことがあったんですけれども、最後のチャンスだと思ってオーディションを受けさせていただくことになりまいた。本当に今まで色々な役をやらせていただきましたけれども、また新たな自分の転換期になる作品だなと思っています。ですので、今まで経験した役とか通ってきた人生をすべて投入して、心からファンテーヌという役を愛し楽しんで、そして深く深く大切に演じていきたいと思います。
屋比久知奈
今回エポニーヌ役を務めさせていただきます屋比久知奈です。この大きな歴史ある素晴らしい作品に出演させていただけること、本当に嬉しく光栄に思っています。同時に、エポニーヌ役として選んでいただいたという責任も強く感じているので、私なりに役に向き合って、役を深めて「レ・ミゼラブル」という世界で一日一日を大切に生きたいと思います。皆様に劇場でお会いできる日までに、今よりももっともっと、何倍も成長した姿でお会いできるよう頑張っていきたいと思います。
三浦宏規
今回マリウス役を演じさせていただきます三浦宏規です。今回初めて参加させていただくんですけれども、ずっと夢見て憧れていた「レ・ミゼラブル」に自分が出演出来ること、そして今こうしてこの場にいられることが、夢のようで本当に嬉しく光栄に思っております。まだまだ経験も浅く未熟な自分ですが、今自分に出来ることはすべてマリウスに注いで、「レ・ミゼラブル」という素晴らしい作品の中でマリウスとして生きていきたいなと思っております。
熊谷彩春
この度コゼット役を務めさせていただきます熊谷彩春と申します。幼い頃からずっと憧れて続けていた「レ・ミゼラブル」という作品で、コゼット役でこうしてデビューをさせていただけることを本当に嬉しく思っていて、こうしてこの場にいることもまだ夢みたいな気持ちです。素晴らしい大先輩の方々からたくさん学びながら、精一杯全力でコゼットを演じたいと思います。
斎藤 司
今回コゼット役ということで(会場笑)、違いますね、すみません。テナルディエ役ということで、大役を仰せつかりましたトレンディエンジェル斎藤と申します。本当にですね、大先輩の方々に囲まれて本当に緊張してまして、ちょっと今歯が痛い状態です(笑)。「レ・ミゼラブル」という大作中の大作でございますから、私も本当に、お客様もやっぱり日本中のみんなが愛している作品ですし、足を引っ張らないようにやらせていただけるように既に役作りを始めております。テナルディエという役なので街で足を引っ掛けたり、ものを盗り始めたりとか(ウソです)、そういった感じで役作りをしっかり始めてますので(笑)、どうぞよろしくお願いします。
朴 璐美
みなさんこんにちは。マダム・テナルディエ役をやらせていただきます朴璐美です。まさか40代半ばで人生こんな事があるもので、初めてミュージカルに挑戦することになりました。ミュージカルというものと本当にほぼ縁のないところで生活をしていたもので、ちょっとどうなるのかなと自分に期待をしつつ、ワクドキしている状態です。(キャストに)本当に皆さんあの、お歌がうまいんですよね…?(笑)私は歌とかやったことがないんですけども、今からしっかり、ヴォイストレーニングに通ったり、色々しながら自分にチャレンジして新たな扉が開くような作品作りにしたいと思っております。
小野田龍之介
アンジョルラスを務めさせていただきます。多彩な俳優の皆様、斎藤さんもいらっしゃいますし、その中の一人として新キャストに選んでいただけたこと嬉しく思っています。子供の時から舞台の仕事をさせていただいておりまして、この「レ・ミゼラブル」という作品は僕の中で非常に大きなきっかけというか、影響を受けた作品のひとつでもあります。本当にどの作品よりも観ていると思いますし、音楽を聞いていると思いますし、色々その中で感じてきた作品のひとつだと思っております。自分自身がその作品に携われるのがまだちょっと信じられないですけど、本当に嬉しく思っているのと同時に、身の引き締まる思いです。初演の時からたくさんの素晴らしい俳優さんが演じてこられたこの役、とにかくその方々のエネルギーを絶やすことがないように、その中で感じたことだけに縛られることもないように、一つ一つ丁寧にお稽古して本番で皆様にお会いしたいと思います。
今回、「レ・ミゼラブル」のオーディションを受けようと思われたきっかけと、
その役で受けられた理由を教えてください。
佐藤隆紀
いつか演じてみたいというのはずっと心にあった役なんですけども、正直自分にとっては「いつか」という思いだったので、まさかこんなに早く合格をいただけるとは思っていませんでした。自分へのチャレンジという意味も込めてこの役を受けるという思いでした。なので、こんなに早く受かると思っていなかったので、今とても焦っています。自分のスキル、そして内面が伴うように、これから本番に向けて自分に向き合ってスキルアップしていきたいと思っています。
上原理生
ずっと2011年からアンジョルラスを演じさせていただいて、前回2017年に出演した際にはもう最後だなってなんとなく思っていて、次もしやってしまったらトゥーマッチだな、というのが自分の中にありました。演じさせていただくのはありがたいことなんですが、知り尽くしてしまった感があって、それもちょっと違うかなと思って、違う役に挑戦したくて受けさせていただきました。
伊礼彼方
作品を観た時にジャベールに衝撃を受けて、この役をやりたいって思って、40才を過ぎたら自己申告でオーディションを受けたいと思っていたんですが、思いの外ある方からそろそろオーディションを受けてもいいんじゃないかというお話をいただいて、自分の中では経験値が足りないかなと思いつつも、チャレンジしてみようと思いました。ミュージカルでは歌が大事だとは思いますが、CDで村井國夫さんが演じられているジャベールの音源を聞いた時に、ものすごく“芝居”の要素を感じまして、言葉が届いたんですね。なんて素敵な作品なんだ、俺もこういう役者になりたいと思ったのが10年以上前のことです。色んな要素が重なって、今の自分の年齢とキャリアも重なり、今回のオーディションを受けさせていただきました。
濱田めぐみ
私は皆さんと逆で、これは最後のチャンスかなと思いましたし、これを逃すと多分後悔しながら舞台に立ち続けることになる。駄目なら駄目でいい。だけどトライをしないと自分で自分を逃げさせることになるなと思いました。自分の背中も自分で押して、思い切って飛び込みました。ファンテーヌという役は「レ・ミゼラブル」という作品の中でも母親というポジションで革命という時代に翻弄されながら子供のことをまず第一に考えているという、究極の女性としてのあり方や、彼女の中で価値基準がやっぱり子供だったというところにある意味共鳴できるところもありました。自分の中での母性というものを憧れだった作品の中でどういうふうに表現できるかなって思いましてファンテーヌという役を選ばせていただきました。
屋比久知奈
私はこの作品のことは小さい時から知っていたんですけど、去年初めて生で観劇することができて、その時に感じたエネルギーというか、この作品がナマモノである意義みたいなものを感じて、この作品に出てみたいなって強く思ったのがきっかけです。その中でもエポニーヌという役になぜか興味を惹かれて、もし自分がこの作品に出ること出来るならエポニーヌという役を演じてみたいという思いがずっとあったので、オーディションでお願いしました。今回この役に決まったときは本当に心から嬉しかったです。
三浦宏規
この作品を観させていただいた時にすごく感動しまして、どうしてももう1回観たいと思って、何とかチケットを取ってもう一度観て、でもまたもう1回観たいと思って、でももう1回は観られなかったんです。2回目観た時に、マリウスを演じられたら幸せだろうなあと思いました。まさか自分が受かるはずないよなぁと思いながらも挑戦してみたいという気持ちで、オーディションを受けさせていただきました。
熊谷彩春
幼い頃イギリスに住んでいて、3才ぐらいの時に両親に初めて「レ・ミゼラブル」を観に連れて行って貰いました。そこで衝撃受けて、ソファーを舞台に毛布をふりまわしながら民衆の歌を歌って、「レ・ミゼラブル」ごっこをしていた程大好きでした。なので、昨年の秋に事務所に入った時に、オーディションの話をいただいて、好奇心旺盛なところとかが自分にすごく当てはまると思ったのでコゼット役で受けさせていただきました。
斎藤 司
皆さんのような崇高な目的とはちょっと違うんですけれども、やはりミュージカルというものをいつかやってみたいなという思いはありました。この「レ・ミゼラブル」に出られるっていうのは僕にとっては責任重大ですし、今の自分には見合ってないのは分かっているんですけれど、仕事が自分を成長させてくれると常々思っていますし、今回オーディションがあるよって話を聞いて、これはぜひ、もちろんダメ元で当たって砕けろで受けさせていただきました。本当はコゼット役が良かったんですけど(会場笑)、ダメだって言われました。なので、自分に一番近しいひょうきんさと、やっぱり自分の中にある闇ですよね、それでテナルディエ役で受けさせていただきました。
朴 璐美
マダム・テナルディエ役を受けないかとお話を頂いたのが最初で、40代半ばで初ミュージカルっていうのは自分でもどうなんだろうと思いました。色々と話を聞いたところ、このマダム・テナルディエ役はハートも技量もなければ決して務まらない役なんじゃないかと考えまして。最初はお断りしようかと思ったんですけども、昨年、22年在籍した演劇集団円から独立したばかりで、もっとチャレンジしてもいいかなと思いました。ミュージカルは1度もやったことないですし、どうせ落ちちゃうと思うけど、今の自分のマックスを出せるように自分と葛藤しながら受けることを決めました。でもやはり歌への苦手意識があったので、オーディションを受ける前に4回の歌唱指導を受けさせていただきました。
「朴さん、歌が苦手なのはわかったからもっとリラックスして!」って、もう本当に色々な方々に励ましていただきながら受けた思い出深いオーディションでした。
小野田龍之介
アンジョルラスという役は、ものすごく神々しいというか、学生や市民を率いて革命に向かいますが、同時にお客様にとっても感化されたり惹きつけられるエネルギーのある役だと思うんです。だから大好きな役でしたけれど、自分が受けたいとか演じてみたいというのはずっとありませんでした。何役で受けたか覚えてないんですけど、実は15才の時にもオーディションを受けたことがあったんです。その時は最終選考まで残ったんですが「小野田くんよく頑張っている。でもまだ若いから20才過ぎたらもう1回受けに来なさい」と言われて、よし頑張ろうと思っていたんですけども、なかなかオーディションを受けるタイミングが無くて、ずっと観る側に徹していたんです。ですが、「ミス・サイゴン」に出演していた際に、海外スタッフの方に「レ・ミゼラブル」には興味ないのか?と聞かれた際、「何役が合っているのか、何役がチャンスがあると思うか」と質問したところ、逆に「何の役が好きか?」と聞かれて、「アンジョルラスはやはり子供の頃から憧れている」と返したところ、「じゃあアンジョルラス受けてみればいい」と言われて、「あっ、アンジョルラスを受けてもいいのかな」というのがひとつ芽生えたというか、背中を押されました。起用していただいて非常に有り難く思っております。
『レ・ミゼラブル』のオーディションの時の印象深いエピソードを教えてください。
佐藤隆紀
ジャン・バルジャン役は、今まで僕が出たミュージカルの役の中で一番高い音があったり、技術的に本当に難しい役だと思うんですが、特に音大を出ていると技術にどうしても走ってしまうんですけど(上原理生:「わかるー!」会場笑)、やはり技術に走ってしまうと感情が伝わらなくなってしまうので、言葉を伝えるという意識を持って歌わないと、ミュージカルでやる意味がなくなってしまったりするので、感情と技術のバランスっていうんですかね、逆に技術の方を忘れてしまったり、これがすごく難しかったのが印象的です。それは今もずっと思っていることで、もちろん来年まで多分ずっと思い続けることだと思うので、その点をもっと研究して突き詰めたいと思っています。
上原理生
アンジョルラス役はもう卒業だと思って、実はジャン・バルジャンとジャベールの2役で受けました。オーディションの日は、ジャベール役のナンバーを先に歌って、その後にジャン・バルジャン役のナンバーを歌ったので、ヘトヘトになりました。終わった後にジャベール役でもう1回来てくださいと言っていただけたので、今度はジャベール役でお願いしますって行ったら、『スターズ』を歌う時に宣教師のように、牧師、司祭みたいな、自分のこれが正しいんだ「これが神の啓示だ」という姿勢で聞いいてる人たちに自分の思いを届けてくれと言っていただいて、それで実際に歌いながら動きながらやりました。すごく面白いなと思って受けた記憶があります。
伊礼彼方
オーディションは『自殺』と『スターズ』の2曲だったんですが、何度も何度も色々な要求をされまして、終わって気づいたら50分程経っていました。『スターズ』は朗々ときれいに歌ったけど違うと、“星に願いをかけてジャン・バルジャンを追い求める彼の硬い部分を出して欲しい”と言われて20分から30分歌いました。『自殺』の時は感情的に言葉をそのままストレートに伝えたんですが、じゃあ今度はこういうふうにやってくれと要求されたのが、“ようやく彼が開放されると思って、最後の高音で喜びのトーンを出してみて”と、そういうことを約50分かけてオーディションさせていただきました。多分ですが、その場その場で、言われたことをシンプルに直感的に僕がフィルターを通して表現出来るか否か、その瞬発力を試されたんじゃないかなと思っています。オーディション受けて強く思ったのは、30年以上この作品が上演されて先輩たちが歴史を作ってきて、新しい僕らの世代が、先輩たちの作った歴史の中から良いものを残し、昔の古いものを壊して新しい時代を創らないといけない、と感じました。今、ミュージカル界全体に新しい世代の新しい感覚が芽生えていますが、でもそれはあくまで歴史があってこそなので、そこに乗っからせていただいて、色々とチャレンジしていきたいなと思っております。
濱田めぐみ
印象的だったのは、例えばファンテーヌの歌を歌う際に、感情的に悲しくなるところでも、“悲しみの中に嘆きを入れて”とか、色んな種類の感情を混ぜて歌ってくださいと言われたんです。人間は悲しみながらも一瞬喜びを思い出したりとか、笑いながら泣いている瞬間とかあって、そのリアルな中でも自分の中で一番近いものを、なおかつテクニック的には裏声だとか地声だとか中間だとかそのミックスとか、とにかく細かく細かく指定が来たので、それを紡いで1曲歌い終わるまでにすごく自分の中で色々な感情の階段を登れたというか、オーディションですけどファンテーヌとして色々な経験させていただいたというのが一番印象に残っています。私自身としてというよりも役として歌ってと言われることが多かったです。
屋比久知奈
エポニーヌの『オ・ンマイ・オウン』という曲を歌わせていただいたんですけども、ワークショップのような形でオーディションを進めてくださいました。すごく印象に残っているのは、私が今まで知らなかった感情というか、自分の中にこんな感情あるんだというのに出会えて、“自分ってまだこういうエネルギーが残っていたんだ”という、そういう新しい自分に出会えた場でした。ですので、すごく大変だったという印象よりも、あのオーディションの場ではすごく興味深くて有意義で、学ばせていただいた場ということが印象に残っています。本稽古の中でもビルドアップしていきたいと思っています。
三浦宏規
『カフェ・ソング』をオーディションで歌わせていただいたのですが、演出家の方に『カフェ・ソング』1曲の中にもマリウスの中には色んな感情があって、それをもうちょっと表現してと言われました。もちろんその感情は僕の中にもあって、表現したいと思っても、技術が伴わず思うように出来なかったんです。それが本当に悔しくてオーディションが終わって泣きそうになるくらい出来なかったとので、今回ダメだったと、自分がもっと経験を積んで色々なことをもっと出来るようになってやろうと思ったんです。ですが選んでいただけたので、これから自分の中で出来ることをすべてやって万全で本稽古に臨みたいと思っています。
熊谷彩春
私は最初オーディションの時、しとやかで清楚な女の子という原作のコゼットのイメージ通りに作って行ったんですが、演出家の方に“君は学校では活発で元気いっぱいな子なんだろう?”と言われ、演出家の通訳さんを“高校の友達だと思いながらマリウスのことをどれだけ好きで、どれだけウキウキしているかを友達に恋バナするように『プリュメ街』を歌ってみて“と言われました。そこで通訳さんの手を握ってみたり会場をちょっと小走りしながら『プリュメ街』を歌わせていいただいて、終わったあと演出家の方に、“すごい目の奥でキラキラしているのが見えたよ”と言われて嬉しかったのを覚えています。
斎藤 司
やはり歌を歌う時には目の前に秋元康さんがいたんで、あ、すみませんこれ吉本坂のオーディション・・・(会場笑)。すみません混同してしまって(笑)。僕ももちろん歌唱指導もしていただいたんですけど、どうしても歌を歌っちゃうんです、普通に。演技に魂をのせられないというか。そこにすごく苦労しまして、例えば先輩の駒田一さんの動画とかすごい拝見したりして、でもそれと一緒になっちゃいけないからっていうので見ない方が良いと言われ、じゃあ一体どうすれば良いんだ?!と思いながら、いざオリジナルでやってみたら感情をのせてるうちにフリースタイルダンジョンみたいになってきちゃって、すごい色々迷いながら試しながらやらせていただきました。今もまだ自分の中でこれだっていう正解はみえてないんですが、本当に毎日勉強でやらせていただいています。
朴 璐美
『ミュージカル=歌』なのですが、歌に対する苦手意識がとってもあったので、『この音』って言われても『この音』が何かも分からないような状況でやっていたんです。けれども、4回目の歌唱指導で、“違う、音じゃない、言葉だよ”と教えてくださった方がいて、そこからパンと開けた自分がいました。オーディションの日は緊張し過ぎて、控室じゃないところに部屋を取って1時間自分で練習してからオーディションに臨もうと思っていたんですけど、もうあまりにも緊張してふて寝してしまって、もうダメだと思ったんです。会場でも、歌唱指導してくれた方などもいてくださったんですけれど、その方々が厳しい眼差しでありながらもお父さんお母さんのような目で見守ってくれている場で何か感じ入るものがあって、自分の中でなんかスイッチが入ったっていうのがありました。演出の方は初めてお会いする方だったんですが、1度歌い終わったあとに“璐美はキャット、璐美はキャット。ネコのようにコゼットを追い詰めて”と言われて、ネコのようにコゼットを追い詰めるって何だ?!って思ったんですけど、そこでもう自由になんでもいいから思うがままにやってみればいいとスイッチが入ったのを覚えています。ですからオーディションはあっという間に終わって、“お疲れ様でした”と言われた時に“ほっ!終わった!”と思って、扉を出た瞬間に大号泣したのを覚えています。
小野田龍之介
『ABCカフェ』の後半から、この作品の代表曲でもあります『民衆の歌』部分の譜面を頂いていまして、それをやるつもりでオーディション会場に行ったんですけど、当日オーディションに伺って演出家とお会いした時に“『ABCカフェ』の頭からお願いします”って言われて、“あっ、オレもらってない”と思って(笑)。その際に音楽監督さんから、“持ってないけど歌えますよね?”ってなって、“大丈夫です、歌えます”って言った時に俺ミュージカル好きで良かったなーと本当に思いました。実際に歌わせていただくと、みごとに歌詞も浮かぶし本当に『レ・ミゼラブル』が大好きだなと自分を尊敬しましたけれども(笑)。1曲のそれぞれの部分をブロックに分けて歌っていって、全部歌いきったんですけども、とにかく楽しくって、スタッフの皆様も勝手に信頼を寄せている方々ばかりなので、全部身を委ねてみようと思って。アンジョルラスはエネルギーが必要ですから、音楽中で言葉をしっかり伝えて、音楽を利用してエネルギーを出したいと、考える余裕はもうなかったんですが、誠実に取り組んだ結果受かりました。ありがとうございます。
斎藤さんへ、今回オーディションに合格して芸人仲間やご家族にどのように報告されましたか?
また反応はいかがでしたでしょうか?
斎藤 司
芸人仲間からは、ニュースを見たみたいで「すごいじゃん!」と言ってもらったりして。逆に芸人なめてたというか、あ“レミゼ”知っているんだと(笑)。そこでそれくらい「レ・ミゼラブル」の凄さを実感しました。芸人の中では子供が生まれると運気が上がるっていうのが伝説としてあって、これは娘が持ってきてくれたプレゼントだなと本当に思っているんで、毎日『宿屋の歌』を娘に歌ってるんです。物くすねたりとか、あまりいい歌詞ではないんですけど、音という意味では娘に練習相手になってもらったりとか聞いてもらったり、妻にもお祝いして貰いました。皆さん「絶対見に行くね」っていってくれるんですけど、お笑いのライブは招待とかチケット代もそう高くはないのですが、「レ・ミゼラブル」はどうやらそうはいかないみたいなんで、「チケット代はしっかりかかるけど絶対良いから楽しみにしててね」と言っています。みんな喜んでくれているので、あとは、とにかく頑張らねばという感じです。